血液の循環 Part 2

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2009年から2012年にかけてドイツに滞在し、ウルム(ULM)という街でポドロギー(Podologie)を学びました。

その際に書いていたブログをこちらにリライトしています。

それに伴い、前記事は徐々に削除していきます。

ここで掲載されている情報は、その当時のものですので現在変わっている可能性があります。

また私自身の認識が間違っていることも考えられますので、ご自身でも常に最新の情報をご確認下さい。

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血液の循環 Part 2  2012.1.22記事より

 

血液の循環 Part1」からの続きとなります。

ところで普通の成人(体重60kg程度)の体内に流れている血液の量はおよそ5リットル、全量が、およそ一分間で体内を一巡しているそうです。

このうち、常時動脈内を流れている血液がだいたい20%位、残りの約80%が静脈内にあります。

心臓ポンプで一気に流れたきれいな血液も、ひとたび全身の組織に栄養と酸素を供給したら、静脈に乗ってゆっくりと心臓に帰るのです。

それぞれの機能や構造から、「動脈」に関する疾患では、心臓の機能や血圧、そこから来る動脈壁の損傷や変形などと関係するものが多く、「静脈」疾患には、血液の滞りから来る病気が多いのですね。

さて、静脈を通って心臓まで帰ってきた老廃物や二酸化炭素を含んだ血液は、今度は右心房へ入ります。
ここまでがひとつの大きな血液の流れで、「大循環」、または「体循環」と言います。

この大循環により、上記の通り、酸素を含んだ、栄養分の多い血は全身の組織に送られる訳ですが、一箇所だけこのきれいな血が供給されない器官があります。

それはどこか。

その器官自体が血液への酸素供給を担うところ。そう、「」です。

右心房へ送られた、二酸化炭素や老廃物を含む血液は、右心室から今度は「肺動脈」を通って肺に入ります。

通常きれいな血を運ぶ動脈ですが、「肺動脈」だけは例外なんですね。

肺で、「肺胞(肺の毛細血管)」によって、空気と血液の間で「ガス交換」が行われます。
つまり、血液(赤血球)とともに届けられた二酸化炭素は、ここで手放され、呼吸によって得られた酸素が、再び血液に取り入れられます。
この酸素豊富な血液は、左心房へ入って行きます。

これを、大循環に対し、「小循環」、または「肺循環」と言います。

「小循環」を終えた血液は、また更なる「大循環(体循環)」へと旅立っていくのです。

おっと、循環器系で忘れてならないのが、もうひとつの大切な管、リンパ管やリンパ節からなるリンパ系です。

リンパ管は構造上静脈に似ており、静脈と同じ方向に流れていますが、その中を流れるリンパ液(リンパ)は、余分に生成され、濾過された血漿などからなる、ほとんど無色の液体です。
それについてはまた後日。

次回は、循環器系の疾患に関して、書いてみようと思います。

本日もお読み頂き有難うございます。
それでは皆様、ごきげんよう

(追記)
ところでこの現在の「血液循環」について、ヨーロッパで一般的に受け入れられるようになったのは、17世紀、イギリス人のWilliam Harveyが、血液循環の実証に成功してからとのこと。

それまでも16世紀にはスペインのMichel Servetや、や、ブリュッセルのAndreas Vasaliusなどの学者が「血液循環」に関して正しいことを述べても、当時の学説(ガレノスの説)と異なるという理由で認められず、Servetに至っては、政治・宗教的な背景もあり、処刑されたそうです。

血液循環の仕組みに関して、興味のある方は、見てみて下さい。

アニメで血液循環に関して、ドイツ語 Es war einmal Das Leben 07 Herz Ganze Folge

 

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