爪から身体の状態を知る
フットケアの仕事をさせて頂いていると、様々な爪や足の形に出会います。
それぞれに個性があり、人によって千差万別です。
爪は形だけでなく色や厚さ、大きさ、巻き具合などそれぞれ異なりますし、足の指も長い、短い、くっついている指、離れている指など様々です。
そのような形になるのは生まれつきの場合もありますし、後天性の場合もあります。
足の形や大きさなども、体重の変動に伴って変化することもありますし、爪もその時の身体の状態により変化します。
爪の変形には、例えば怪我をしたり、外からのストレスや摩擦によって変化するものと、内的な疾患から起きるものがあります。
内的疾患から来る場合には、ほとんどの場合、全部の指に変化が見られます。
東洋医学では、目や舌を見て望診するように、爪も見ますね。
爪には身体の状態が現れるのです。
例えば、時計皿爪と呼ばれている状態があります。
時計皿爪とは、爪(爪甲)が大きくなり、指先を包むように丸くなった状態です。
拇趾から発生することが多いですが、次第に全趾に見られるようになります。
ヒポクラテスによって初めて報告されたことから、「ヒポクラテス爪」とも呼称されます。また、たいこのばちの形状にも類似することから、「ばち状指」とも呼ばれます。
時計皿爪は、一般的に心臓や肺の疾患に関連して生じる爪の変形とされています。
具体的な疾患としては、肺であれば間質性肺炎や気管支拡張症、嚢胞性線維症、肺がんなどがあります。
心疾患であれば、チアノーゼを呈する先天性心疾患を例に挙げることができます。
その他、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、甲状腺機能亢進症などと関連して生じることもあるそうです。
いずれの場合も、特にフットケアで外側から何かする、というものではないのですが(時計皿爪自体が原因で痛みなどは通常生じない)、爪から読み取った情報によりお客様が、その変形の元にあるものに気付くきっかけを提供いたします。
足の爪なんて、特に痛みがなければそれほどよく観察しない方も多いかと思いますが、
毎日、例えば入浴中などに爪をセルフチェックすることは、ご自身の身体の状態を確認することにも繋がりますね。